文章置き

written by古川優菜twitter:)http://twitter.com/fullkota思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。
written by古川優菜
twitter:)http://twitter.com/fullkota
思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。

尊さん

朝の日課は、誰も店にいないうちに灰皿をきれいにしておくこと。
夜の店仕舞いで草薙さんは灰を捨てるけれど洗ってまではいないから、塵で白くなってしまった灰皿を丁寧に水洗して透明に輝く硝子に戻してあげる。今日も1日頑張ろうね、と話しかけつつふきんで拭いて完成。ことり、と元の位置に戻した。この日課を知ってるのはきっとアンナちゃんだけ。いつもこの時間に起きてくるのはアンナちゃんだけだから。だから尊さんが階段から降りてきてるとも知らず、階段の軋む音を耳にして振り向かず「おはよう」と声をかけると「それお前がやってたのか」と予想外の声色に吃驚した。思わず返事することも忘れてふきんを握りしめていると、まるで子供の様に頭を撫でられた。普段とは違うスキンシップに体が熱くなっているのが自分でもわかる。どうか尊さんにばれませんように。(俯いていたから、彼の柔らかい表情に気づくことはなかった)

***

HOMRAがBARとして1番活動している時間帯。つまりは夜、どうしてもお酒が苦手な私は2階にいるかふらりと出かけてしまうことが多い。前者はともかく後者は連絡もせず奔放するように出てしまうのでいつも帰ってきた途端に怒られる。わたしだって赤の王のクランズマン、決して弱くはないのに。今日も懲りずに外へ出て、最近ハマっているカジノでひとしきり遊ぶと満足して日付もすっかり変わってしまったころに帰宅する。尊さんも草薙さんもすっかり怒った表情だ。カウンターで座っていた尊さんが私に近づいてくる。
「今まで何してた」「・・・尊さん、臭い」

***

「あいつホムラの女だ」
やばい気づかれた。というよりもホムラのNo3が隣にいるのに私の方が知名度あるってどういうことなのだろう。「じゃ、俺はここで」にこりと笑って退散するうちのNo3は薄情ものだ。「おいお前、周防尊の女だな?」もう一度言おう、あのNo3は薄情ものだ!
相手の襲いかかる右手をするりと躱す勢い余ったその右手は私の背後の相手を殴った。ふふ、味方殴ってるよ?「こんの、ッ!」頭に血を上らせて走ってくる男に足払いをかけて転ばせてそのまま顔を水たまりへ。無様なチンピラさん、私に勝てないなら尊さんに手を出そうだなんて1000年はやいぞー!
じゃあね。背を向けひらひら、と手を振ったが見てる人はたぶんいないかな。

***

「洗濯物とってきたぞ。」
「ありがとう、そこにおいてくださいな。」
「ん。」
シワをとるためにぱんぱんと服をのばしてからハンガーを通す。「1人でやるより2人の方が早く終わるんですから手伝ってください」と言われ押されるがまた手伝いはじめたが、今ではスムーズに滞りなく洗濯物を干していく。
「はい、おわり。」
「布団はいいのか」
「、こんないい天気だと干したくなりますね」
重たい布団を干すのはいつの間にか俺の仕事になっていた。俺が布団を運ぶと枕を持ってちょこちょこと後ろをついてくる。ベランダの縁に勢いよく布団をかけると後ろの枕を奪い取って洗濯ばさみで一緒に挟んだ。
どんどんこいつの仕事を奪って行って終いには「私の仕事がなくなります」と怒らせてやりたい。そしたら鼻で笑って「茶。」と返してやるのだ。

(愛妻家な尊さんと新婚生活をください・・・)

***

カウンターで尊さんの飲み物を淹れようとことことお湯を沸かして出雲さんと「寒いね」「せやねえ朝は特に」と会話しながら豆をミルにかけていく。「尊さん、朝ご飯は、」
突然カウンター越しに胸倉をつかまれ体がぐっと引かれた。「ちょ、」と草薙さんが焦る声が聞こえる。喧騒とした空気が一瞬でぴたりと静まった。怒気が少し含まれている。よく目を見るとその目線は私の口元。それに気付いたころ、大きな尊さんの手がわたしの切れた口端を撫でた。
「胃が、荒れちゃって」
そう言うと、はあ、と大きく息を吐き、掴んでいた胸倉を離した。

サイフォンがコーヒーを満たしている。

name
email
url
comment

NEW ENTRIES
index(01.01)
DB高階/男主(01.16)
DBきさらぎ(01.16)
尊さん(02.12)
尊さん(01.25)
尊さん(01.25)
尊さん(01.17)
Kまとめ(01.17)
草薙さん(01.10)
八田ちゃん(01.10)
RECENT COMMENTS
TAGS
かぷ ゆめ 混合 妄想
ARCHIVES
RSS
RSS