尊さん
「わあ、雪!」
「・・・降ってんな」
「あんたら2階に籠りすぎや。結構前から降ってたで」
「そなの?」
久々に降る雪にそわそわ。これは今にも外に出て行ってしまうだろう。それも薄着のまま。尊もそのことに気づいて、コートを取りに行った。どうせすぐ戻ってくるだろう、俺は紅茶を用意しとこか。
***
「おーい、尊」
「…あぁ。」
さっきからずっとこの調子で、何を話しかけても全て生返事。これはきっと外出中のあの子のことを考えているのだろう。酒を飲んでいるのに、グラスに手をかけることなく氷だけが溶けていく。
「尊、酒下げてもええか」
「…あぁ」
きっと俺の話なんて8割も聞いてへんわ。
***
ふと違和感に気づいて、微睡む意識のまま此方へ寄せようと腕がシーツを泳いでいく。それなのにほしい温もりが見つからない。あ?薄目を開くと、いつもすり寄るように眠っている奴がいない。ちっ。寒くて目が覚めちまった。気づいてしまうともう眠れない。
ガシガシと髪を掻き、のそりと布団を除けた。
***
「え?レーズン苦手なの?」「…まあ」「言ってくれればよかったのに」
思い返してみたけれど、尊さんが私の作ったレーズン入りの料理を残してる姿は見たことがない。言ってくれればレーズン入れなかったのに。意外にも健気な姿に思わず笑みがこぼれた。
「ごめんね、今度から尊さんの分だけ抜いとくね」「ああ」「…ありがと」「?なにがだ」「なんでも」
「・・・降ってんな」
「あんたら2階に籠りすぎや。結構前から降ってたで」
「そなの?」
久々に降る雪にそわそわ。これは今にも外に出て行ってしまうだろう。それも薄着のまま。尊もそのことに気づいて、コートを取りに行った。どうせすぐ戻ってくるだろう、俺は紅茶を用意しとこか。
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「おーい、尊」
「…あぁ。」
さっきからずっとこの調子で、何を話しかけても全て生返事。これはきっと外出中のあの子のことを考えているのだろう。酒を飲んでいるのに、グラスに手をかけることなく氷だけが溶けていく。
「尊、酒下げてもええか」
「…あぁ」
きっと俺の話なんて8割も聞いてへんわ。
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ふと違和感に気づいて、微睡む意識のまま此方へ寄せようと腕がシーツを泳いでいく。それなのにほしい温もりが見つからない。あ?薄目を開くと、いつもすり寄るように眠っている奴がいない。ちっ。寒くて目が覚めちまった。気づいてしまうともう眠れない。
ガシガシと髪を掻き、のそりと布団を除けた。
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「え?レーズン苦手なの?」「…まあ」「言ってくれればよかったのに」
思い返してみたけれど、尊さんが私の作ったレーズン入りの料理を残してる姿は見たことがない。言ってくれればレーズン入れなかったのに。意外にも健気な姿に思わず笑みがこぼれた。
「ごめんね、今度から尊さんの分だけ抜いとくね」「ああ」「…ありがと」「?なにがだ」「なんでも」
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