文章置き

written by古川優菜twitter:)http://twitter.com/fullkota思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。
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思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。

最遊記

「ああ、姫様、またそちらにいらしたのですか。」
「二郎神。」
「そうやって身を乗り出して覗いていると危ないですぞ。さあそろそろ宮に戻らねば」
「うん、もう少しだけ」
「はあ。池の向こうには何がお見えになっているのですか?」
「誰だかわからないけれど、旅をしてるの。西に。」
「ほう」
「太陽みたいな髪の色で、手が届きそうで」

どぼん。

”届かない”という言葉は聞こえないまま、落ちた。
あれほど危ないと言ったのに。


池に落ちたの。
こぽこぽと、吐きだした息が音を立てているけれど不思議と呼吸ができる。手を伸ばせばあの太陽に届く気がしただけなのに。暗い、暗い、みなもには蓮の花があったはずなのに見えなくて、くらくて、どんどん沈んでいく、私のからだ。
でもね、不思議と太陽に近づいてるような気がしたの。あたたかくて、誰かに包まれてるみたいで。

「二郎神」
「観世音さま、」
「あいつは行ったのか」
「どうしましょう、姫様が池に、」

「行かせてやれよ、あいつが望んだことだ」


願わくば彼女の旅にひかりが訪れますよう。

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