文章置き

(嫌いになるには好きになるしかない/BSR小太郎)

嫌いになるには好きになるしかない。じゃああなたの口から「お前なんて嫌いだ」って言われちゃうと、「おまえのこと好きだったのに」って思ってくれてたのかなあ、ねえ小太郎。あなたは口をきくことはないけれど、瞳が今でもぎらりと光っていて私を嫌ってくれているよう。とてもうれしいよ、小太郎。


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(思い出す暇もない/WA久保時)

「久保ちゃん、カロリーメイト買ってきてくれた？」
「・・・あ、忘れてた」
どうせ考え事でもしてたんだろうけど。コンビニに行くといいながら何も買ってきた様子はない。ほら、ビニール袋持ってないし。いつもの久保ちゃんの悪い癖。
「で、何考えてたんだ？」「うーん。時任が好きなもののこと？」「は？」「どうしてお前はカロリーメイトが好きなんだろう、とか、どうしてゲーム好きなんだろう、とか、どうして時任は好きになるんだろう、とか」「・・・ふうん。」「考えたけど答えはやっぱり出なかった」「それってきっかけの話？」「うん、たぶん」「そんなもん思い出す暇もねーし。毎日久保ちゃんと一緒にいて久保ちゃんと生きてるから好きになんだよ」「ふーん、そっか。」
「それより！カロリーメイト買いに行くぞ！」「はいはい」


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(ナイフを持っていることはひみつ/WA時任と久保田)
久保ちゃんにはまだ言ってない、ひみつのお話。ポケットに、ひとつ、銀色に輝く小さなナイフ。それは誰を傷つけるためのものなのかは俺にもわからないけど、ただわかるのは久保ちゃんを守るためのもの。久保ちゃんは鉛玉を持っているけど、俺には持たせてくれないから。きっと久保ちゃんに見つかると怒られるから、ナイフを持っていることはひみつ。


時任には話さない、ひみつのお話。こころの底に、ひとつ、赤黒い小さなナイフ。それは俺の心を傷つけて、すっかり銀色の輝きは失くしている。手に鉛玉を持っていてもきっと無駄。身体の外を守ることができたって、身体の中は絶えずナイフのせいで怪我をして癒えることはない。けれどそこで流れる血とナイフと痛みが少しだけ俺を安心させる。これが見つかると時任は怒るから、ナイフを持っていることはひみつ。


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（きみだけ限定、特別。/WA時久保)

きみだけ限定、特別。
久保ちゃんに不意打ちでがぶりと耳たぶに噛みついた。甘噛みとかじゃなくて、それはもう食べてしまうほどの勢いで。実際食べてしまいたいって思ったんだけど久保ちゃんがくぐもった声を出しているのを聞いてはっとしてやめた。
「どーしたの」
「久保ちゃんが美味しそうに見えた。」
「時任ならいいよ。おあがりなさい？」

「・・・いただきます」


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(「ちゅーしよ。」/黒バス高緑)

放課後、今日は体育館が使えないから部活は休み。雑用を済ませて教室に戻ると、高尾が机に突っ伏して寝ていた。そういえば朝からずっと眠そうにしていて、ゲームしすぎたとかぼやいていた。ずっと襲いくる睡魔と闘っていたようだがぷつりと限界を迎えたのだろう。はあ、と1つため息をついて高尾に近づいた。
「高尾、帰るのだよ」
軽く揺さぶりながら声をかけるとんんー、とうなり声をあげてしばらくしてからはっと顔をあげた。

「真ちゃん、ちゅーしよ。」


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(にがくわらう/WA久保田)

馬鹿みたいに血を流して、あー俺死ぬかも。って思えるようになるまでが「大丈夫」か「大丈夫じゃない」のライン。今まではそうだったしこれからもそのつもりだけど、やっかいな黒猫は泣きながら俺を叱るからそのラインを越えるどころかゆらゆらと揺れて消えかかっている。それに気づいたころには、もう手遅れで、にがくわらうしかなかった。（俺はこんなにもお前でいっぱい。）


こちらよりお題お借りしました。