文章置き

written by古川優菜twitter:)http://twitter.com/fullkota思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。
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思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。

尊さん

夏らしく、ノースリーブの白いワンピースを着てアンナと並ぶと、まるで紅白で対になっているようにみえる。布と変わらないくらい白くて細い腕はやけに冷たそうに見えて撫でてやるとやっぱり人肌の体温を感じた。あちい。「くすぐったいよ」と笑う彼女の手首をとって、肘にキスをした。

***

もう1度だけでいいから、なんて。思ってみるけど1度だけなんて少なすぎるね。離したくなくなりそうだもの。もう二度と会えないのに。流れ星にだって縋るようにお願いしてしまう私がとてもみっともなくて、みじめ。
(会いたい、な)

***

始まりの無い世界で表情を変えずに、あなたは 「これが、最後だ」 と言いました。わたしはどうしても、諦めきれませんでした。手をとろうとしましたが、すり抜けて私を置いていきました。だいきらいです、あなたなんて。あいつのために全てを置き去りにして、追いかけてしまうあなたなんて。

***

ぼんやり洗い物をしている途中で気づいた。いつも身につけているものがない。今朝確かに嵌めたはずなのに、ああいつ失くしてしまったの。10年前はきらきらと輝いていたのに、ずっと身につけていたからすっかり輝きもなくなってしまっていた、それ。今日1日を振り返ってみると意外と忙しい1日、落としてしまった心当たりは山ほどあった。いつものバーで忘れてきたのかも。それとも買い物中?ああ、今日は用事で宗像さんに会いに行ったし…。はたまた、道端で落としたのかもしれない。一瞬頭が真っ白になったのに意外と冷静な心はすぐに取り戻した。流しっぱなしの水と、泡だらけの手に気づいて、さっと手を洗い流し手を拭くと、とりあえず草薙さんに聞いてみなきゃ、と思い立った。僅かな希望でもいい、探さなければ。それはわたしの残り僅かな希望だった。2人でいるときの思い出よりも1人で生きてきた時間の方がよっぽど長い。それでも、わたしの拠り所で、不安定なわたしを支えている物。
誰かさんが「いい加減忘れろよ」と、言っているような気がした。

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