こないだ降ったんです。
こたちかと言い張る。
「おおおお!雪じゃねえか!ほら、こた!」
空から小さな雪がふわふわと舞い降りた。この南国土佐では積もるどころか雪が降ることさえ珍しいのである。思わず縁側から庭に出て行った主の後ろに俺も続く。それが主の白い手に落ちた。その白は一瞬で透明な水へ溶けていく。
「やっぱ俺の婆娑羅が火だからかな」
少しさみしそうに笑うその姿は儚く溶けゆく小雪に重なるようで、鼓動が高鳴った。
「ぶえっくし、」
ああもうそんな薄着をしてるから。上着をお召しにならなければ。できれば部屋に戻っていただきたいのだが、この調子だとまだ戻りそうにない。寒さに赤い鼻をすする主に困った顔をすると「こた、」と呼ばれたかと思うと、すっと手を引かれてそのまま主に後ろから抱きすくめられた。「あーあったけえ」と、耳元で声が響く。ぎゅ、とまた胸が締め付けられる。思わず主の腕をぎゅっと握った。
「もうちょっとだけ、な?」
その言葉にいつも絆されてしまうのだった。
心も雪もたくさん積もって。
(積もったら雪遊びいっぱいしような!)
「おおおお!雪じゃねえか!ほら、こた!」
空から小さな雪がふわふわと舞い降りた。この南国土佐では積もるどころか雪が降ることさえ珍しいのである。思わず縁側から庭に出て行った主の後ろに俺も続く。それが主の白い手に落ちた。その白は一瞬で透明な水へ溶けていく。
「やっぱ俺の婆娑羅が火だからかな」
少しさみしそうに笑うその姿は儚く溶けゆく小雪に重なるようで、鼓動が高鳴った。
「ぶえっくし、」
ああもうそんな薄着をしてるから。上着をお召しにならなければ。できれば部屋に戻っていただきたいのだが、この調子だとまだ戻りそうにない。寒さに赤い鼻をすする主に困った顔をすると「こた、」と呼ばれたかと思うと、すっと手を引かれてそのまま主に後ろから抱きすくめられた。「あーあったけえ」と、耳元で声が響く。ぎゅ、とまた胸が締め付けられる。思わず主の腕をぎゅっと握った。
「もうちょっとだけ、な?」
その言葉にいつも絆されてしまうのだった。
心も雪もたくさん積もって。
(積もったら雪遊びいっぱいしような!)
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