こた→ちか
雨の日は好きだ。空の青い日は嫌い。だってあの人が外に出て行ってしまうから。元々めったにこの牢獄にこないのに、海に反射する太陽がまぶしい日は確実に来ないから。だから正に恵みの雨。毎日毎日空が泣く日を心待ちにしている。外そうと思えば簡単に外せる足枷や手枷も、あの人と俺を結ぶ唯一の鎖なのだから、外せるわけがない。こんな脆い牢獄なんてすぐに抜け出せるけれど、ここを出ると唯一といっていいつながりがきれいさっぱり消えてなくなってしまう。どうせ俺はあの人の気まぐれで、あの人にとっての「お宝」で、飽きたらすぐに捨てられる存在だ。抜け出しても追いかけてくれるなんて以ての外。必死に、つなぎとめるしかないのだ、この鎖を。
壁につながる鎖を絡めて解けないようにして。
(幾夜も牢獄の向こう側の扉を眺めたが開くことはない。)
壁につながる鎖を絡めて解けないようにして。
(幾夜も牢獄の向こう側の扉を眺めたが開くことはない。)
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