高橋啓介夢
「お鍋が食べたい。」そういって、材料を持ってうちの家におしかけてきた。まあこの人がうちにくるのは珍しいことでもなんでもないのだが、いつもなら俺かアニキが誘ってうちに来ることが多いのでなんとなく変な感じがする。
なんとなく、そわそわした。Dの遠征で週末ゆっくり会う間もなかったから。
なんとなく、ほっとした。ちょくちょく電話はしてたけど、実際に会うと自分の張りつめてた心がほぐされた気がする。あー、会いたかったんだ、俺。照れくさくてそんなこと言えないけど。
「私の家でお鍋なんかするとお父さんと2人だから寂しいしさ。」
「ふーん。まあうちも俺とアニキしかいないけどな」
「でもお父さんと食べるよりは啓介くんといっしょに食べたい、な」
そう言ってはにかむ姿に顔が熱くなって思わず俯いた。
「とりあえず、あがれよ」
***
ドアのチャイムが鳴ったと思ったら、どうやら来客のようで家にあがってきた。なんとなく誰かは想像がつく。リビングに近づいてくる2人の足音にパタン、と本を閉じた。
「いらっしゃい」
「お邪魔します、涼介さん」
「鍋食いたいから来たらしいぜ」
「何鍋?」「んー、鳥鍋かなー。」「手伝うぜ。」「ありがと。」リビングにつながるアイランドキッチンにビニール袋の中身を広げ、ちゃくちゃくと鍋の準備を進める啓介達。
寄り添う仲睦まじい2人の姿を見て閉じた本を持ってソファから立ち上がった。
「あれ?アニキどっかいくのか?」
「ああ、ちょっと部屋に。」
「すぐできると思うぜ?鍋だし」
「じゃあ、できたら呼んでくれ」
なんとなく、彼女の視線からありがとう、と聞こえた気がした。
さて、部屋で本の続きを読むか。
***
お鍋がぐつぐつ、といい音を立てる。ちょっと強引だったかな、お鍋が食べたい、だなんて。そんなもの口実で、本当は啓介くんに会いたくなっただけ。苦笑いのような笑みを浮かべた涼介さんには気づかれてたみたいだけど、この子は鈍感だからたぶん気づいてないんだろうなあ。その鈍さはもどかしくなると同時に啓介くんらしいそのまっすぐな性格に微笑ましくなる。
「実はね、恭子ちゃんにちょっとだけ嫉妬した」
「なっ」
「わたしが知らないとでも?涼介さんから聞いてましたよーだ」
「あ、アニキ・・・!」
「あんなに純粋に啓介くんすきすきーってしてるの聞いたら、ちょっと妬けたなあ」
「、、恭子は同じFD乗りとしてすきだけど・・・」
「ほんとに?気になるとか思わなかったの」
「・・・気には、なった」
「そっか」
「お前こそ、まじで『ちょっとだけ』?」
「・・・ほんとは、かなり嫉妬した」
「そうか」
「涼介さん、呼ぼうか」
「だな。」
「あいたかった」という言葉を白菜と一緒に飲み込んだ。
(素直になれない2人に涼介はため息をついた)
(頭文字Dがすきです。啓介君がすきです。)(両想いだけど付き合わないプラトニック)
なんとなく、そわそわした。Dの遠征で週末ゆっくり会う間もなかったから。
なんとなく、ほっとした。ちょくちょく電話はしてたけど、実際に会うと自分の張りつめてた心がほぐされた気がする。あー、会いたかったんだ、俺。照れくさくてそんなこと言えないけど。
「私の家でお鍋なんかするとお父さんと2人だから寂しいしさ。」
「ふーん。まあうちも俺とアニキしかいないけどな」
「でもお父さんと食べるよりは啓介くんといっしょに食べたい、な」
そう言ってはにかむ姿に顔が熱くなって思わず俯いた。
「とりあえず、あがれよ」
***
ドアのチャイムが鳴ったと思ったら、どうやら来客のようで家にあがってきた。なんとなく誰かは想像がつく。リビングに近づいてくる2人の足音にパタン、と本を閉じた。
「いらっしゃい」
「お邪魔します、涼介さん」
「鍋食いたいから来たらしいぜ」
「何鍋?」「んー、鳥鍋かなー。」「手伝うぜ。」「ありがと。」リビングにつながるアイランドキッチンにビニール袋の中身を広げ、ちゃくちゃくと鍋の準備を進める啓介達。
寄り添う仲睦まじい2人の姿を見て閉じた本を持ってソファから立ち上がった。
「あれ?アニキどっかいくのか?」
「ああ、ちょっと部屋に。」
「すぐできると思うぜ?鍋だし」
「じゃあ、できたら呼んでくれ」
なんとなく、彼女の視線からありがとう、と聞こえた気がした。
さて、部屋で本の続きを読むか。
***
お鍋がぐつぐつ、といい音を立てる。ちょっと強引だったかな、お鍋が食べたい、だなんて。そんなもの口実で、本当は啓介くんに会いたくなっただけ。苦笑いのような笑みを浮かべた涼介さんには気づかれてたみたいだけど、この子は鈍感だからたぶん気づいてないんだろうなあ。その鈍さはもどかしくなると同時に啓介くんらしいそのまっすぐな性格に微笑ましくなる。
「実はね、恭子ちゃんにちょっとだけ嫉妬した」
「なっ」
「わたしが知らないとでも?涼介さんから聞いてましたよーだ」
「あ、アニキ・・・!」
「あんなに純粋に啓介くんすきすきーってしてるの聞いたら、ちょっと妬けたなあ」
「、、恭子は同じFD乗りとしてすきだけど・・・」
「ほんとに?気になるとか思わなかったの」
「・・・気には、なった」
「そっか」
「お前こそ、まじで『ちょっとだけ』?」
「・・・ほんとは、かなり嫉妬した」
「そうか」
「涼介さん、呼ぼうか」
「だな。」
「あいたかった」という言葉を白菜と一緒に飲み込んだ。
(素直になれない2人に涼介はため息をついた)
(頭文字Dがすきです。啓介君がすきです。)(両想いだけど付き合わないプラトニック)
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