小太郎
眠れない。広いベッドなのに窮屈なそこは、小太郎が私を抱き枕かのように抱きしめているからで、もぞもぞと体を動かすこともままならない。1人で寝ているときはいつも眠れなくて浅い意識のまま朝日の明るさを感じることが多いのだが、小太郎がそばにいてくれるときは違う。私も彼も不眠症だ。聞けば小太郎も1人では眠れないと言うのだから私たちはずっと2人でいなければいけないのだろう。くすり、と笑えるお話だ。
どうしよう、と悩んだ挙句「こたろう、おきてる?」と小さな声で語りかけた。ぽん、と背中にこたろうの手があたった。それだけなのにすごくうれしくなってしまって、わたしは小太郎にすり寄った。
「ねえ、このまま2人で沈んでしまいたい。」
意識の奥深く、海の底。水面は月明かりで明るいけれど、底の無いくらい深い海の奥まで月の明かりは届かない。暗闇の底。そんなところまで小太郎と一緒に沈みたい。ちっとも眠くならないわたしはこたろうの横腹を撫ぜる。ぎゅっ、と抱きしめる腕の力が強くなった。
別に、眠れなくてもいいかもしれない。小太郎さえいれば。
暗闇の底
どうしよう、と悩んだ挙句「こたろう、おきてる?」と小さな声で語りかけた。ぽん、と背中にこたろうの手があたった。それだけなのにすごくうれしくなってしまって、わたしは小太郎にすり寄った。
「ねえ、このまま2人で沈んでしまいたい。」
意識の奥深く、海の底。水面は月明かりで明るいけれど、底の無いくらい深い海の奥まで月の明かりは届かない。暗闇の底。そんなところまで小太郎と一緒に沈みたい。ちっとも眠くならないわたしはこたろうの横腹を撫ぜる。ぎゅっ、と抱きしめる腕の力が強くなった。
別に、眠れなくてもいいかもしれない。小太郎さえいれば。
暗闇の底
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