WA/久保時と小宮
ああ、俺死んだわ。
と、自覚したはずだった。いや。たしかに死んでいる。俺、浮いてるし・・・。所謂、幽霊ってヤツだ。ふらふら、と幽霊らしく横浜の街を歩いていると、なるほどある程度月日が経っているらしい。ところどころ、変わった店を見て、ああ俺死んだんだなあ、と再確認した。
「久保ちゃん、ちゃんとしらたき買った?」
「買ってる買ってる」
ざわざわと喧騒な声々から聞こえた。いろんな声が聞こえるのに、その声だけ特別。
ああ、久保田さんだ。
あれからこっそりと久保田さんの跡をつけてみた。と言っても幽霊だから堂々としていても見えることはないだろうけど。するとたどり着いたのは、いつもはぐらかしていた久保田さんの家。こんなとこに住んでたんだ。久保田さんと一緒にもう1人、戸惑いもなく慣れたように入っていく男がいた。動いていないはずの心臓が、じくりと疼いた気がした。
「お鍋お鍋ー。1回洗った方がいいか?」
「うん、一応洗っといて」
そんな何気ない会話を聞いて気づいた。俺、羨ましいんだ。久保田さんとあんな会話ができるあの男に、嫉妬してんだ。羨ましい。なんで、俺死んだんだろう。なんで、あいつが久保田さんと話してんだろう。なんで、あんな猫みたいな男が久保田さんの存在を確かにしてるんだろう。久保田さんが愛おしそうに隣にいる男を見つめている。あんな表情、見たことない。
ぞくり、
「どうした、時任?」
「いや、なんか寒気が」
「・・・何か連れてきちゃった?」
「、かも?」
「あら、意外。お前そういうの信じるんだ」
「なんとなく。」
「・・・久保ちゃん殺した奴かな、俺のかな」
「そんな物騒な。」
「たぶん久保ちゃんのだな!」
「なんで」
「なんとなく。」
あ。久保田さんがくすり、と笑った。
「ゆーれいさん。久保ちゃんさ、元気にしてっから。俺様がちゃんと面倒みてっから、だから、」
「だから、笑ってくれよな」
そっか。久保田さん、笑ってんのか。悔しいけど、いいや。楽しそうだし。
ああ、ねむたい・・・
と、自覚したはずだった。いや。たしかに死んでいる。俺、浮いてるし・・・。所謂、幽霊ってヤツだ。ふらふら、と幽霊らしく横浜の街を歩いていると、なるほどある程度月日が経っているらしい。ところどころ、変わった店を見て、ああ俺死んだんだなあ、と再確認した。
「久保ちゃん、ちゃんとしらたき買った?」
「買ってる買ってる」
ざわざわと喧騒な声々から聞こえた。いろんな声が聞こえるのに、その声だけ特別。
ああ、久保田さんだ。
あれからこっそりと久保田さんの跡をつけてみた。と言っても幽霊だから堂々としていても見えることはないだろうけど。するとたどり着いたのは、いつもはぐらかしていた久保田さんの家。こんなとこに住んでたんだ。久保田さんと一緒にもう1人、戸惑いもなく慣れたように入っていく男がいた。動いていないはずの心臓が、じくりと疼いた気がした。
「お鍋お鍋ー。1回洗った方がいいか?」
「うん、一応洗っといて」
そんな何気ない会話を聞いて気づいた。俺、羨ましいんだ。久保田さんとあんな会話ができるあの男に、嫉妬してんだ。羨ましい。なんで、俺死んだんだろう。なんで、あいつが久保田さんと話してんだろう。なんで、あんな猫みたいな男が久保田さんの存在を確かにしてるんだろう。久保田さんが愛おしそうに隣にいる男を見つめている。あんな表情、見たことない。
ぞくり、
「どうした、時任?」
「いや、なんか寒気が」
「・・・何か連れてきちゃった?」
「、かも?」
「あら、意外。お前そういうの信じるんだ」
「なんとなく。」
「・・・久保ちゃん殺した奴かな、俺のかな」
「そんな物騒な。」
「たぶん久保ちゃんのだな!」
「なんで」
「なんとなく。」
あ。久保田さんがくすり、と笑った。
「ゆーれいさん。久保ちゃんさ、元気にしてっから。俺様がちゃんと面倒みてっから、だから、」
「だから、笑ってくれよな」
そっか。久保田さん、笑ってんのか。悔しいけど、いいや。楽しそうだし。
ああ、ねむたい・・・
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