墓参り
(すべて墓参りネタ)
尊、久々やなあ。八田ちゃんも就職して、鎌本も家業継いで、いつの間にかバーにくる吠舞羅のメンツはどんどん少ななってきてな。静かな空間こそ、って思ってたはずやねんけど、あの騒がしさが消えるとまたそれはそれで寂しいもんや。全部、尊がおったからやってんなあ、あれ。ほんま、ずるいわ。
「尊も十束も、皆いんでしもたけど、俺はアンナが大人になって結婚して子供作って幸せになるまで生きるで」
「イズモ…」
そう、決めたんや。俺があいつらの分までアンナの自立まで支えたる。そんで俺が死んだら2人に成長したアンナの話を自慢したるねん。な。
アンナの髪をそっと撫でつけた。
彼岸も墓参りに来るけど、命日の方がなんとなく大事な気がする。せやからアンナ連れて来ていろいろしゃべるねんけど、聞こえてるんかなこれ。なあ、アンナおっきなったやろ。見えてるんかな。
アンナが小さくくしゃみをしたとき、どこからか「風邪引くからさっさと帰れ」と聞き覚えのある声が聞こえた気がしてはっとして雪の降る空を見上げた。「聞こえた?」と聞くと少し驚いた顔をしているアンナもこくり、と頷いた。
俺もアンナも彼岸と命日にしか行かんけど、あの子は毎月のように墓参りにきて墓の手入れしてはるねん。俺らよりもあの子に「もうくんな」って言ったってや。
ほなな、また来年。
(辛気臭い線香の代わりに、いつもの煙草を)
尊、久々やなあ。八田ちゃんも就職して、鎌本も家業継いで、いつの間にかバーにくる吠舞羅のメンツはどんどん少ななってきてな。静かな空間こそ、って思ってたはずやねんけど、あの騒がしさが消えるとまたそれはそれで寂しいもんや。全部、尊がおったからやってんなあ、あれ。ほんま、ずるいわ。
「尊も十束も、皆いんでしもたけど、俺はアンナが大人になって結婚して子供作って幸せになるまで生きるで」
「イズモ…」
そう、決めたんや。俺があいつらの分までアンナの自立まで支えたる。そんで俺が死んだら2人に成長したアンナの話を自慢したるねん。な。
アンナの髪をそっと撫でつけた。
彼岸も墓参りに来るけど、命日の方がなんとなく大事な気がする。せやからアンナ連れて来ていろいろしゃべるねんけど、聞こえてるんかなこれ。なあ、アンナおっきなったやろ。見えてるんかな。
アンナが小さくくしゃみをしたとき、どこからか「風邪引くからさっさと帰れ」と聞き覚えのある声が聞こえた気がしてはっとして雪の降る空を見上げた。「聞こえた?」と聞くと少し驚いた顔をしているアンナもこくり、と頷いた。
俺もアンナも彼岸と命日にしか行かんけど、あの子は毎月のように墓参りにきて墓の手入れしてはるねん。俺らよりもあの子に「もうくんな」って言ったってや。
ほなな、また来年。
(辛気臭い線香の代わりに、いつもの煙草を)
コメントを書く...
Comments