文章置き

written by古川優菜twitter:)http://twitter.com/fullkota思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。
written by古川優菜
twitter:)http://twitter.com/fullkota
思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。

伏見

(すべてさるゆい)

「お前も来るか」「何、を言っているの」「飽きたんだよ、こんなところ」挨拶のように舌打ちをする猿比古が今日はひとつも舌打ちしなかった。この手を取れば彼とずっといられるかもしれないけれど、私には吠舞羅を捨てることなんてできないの。複雑な心に言葉にできず俯いてしまうと、それを見抜いたかのように苛立った舌打ちが聞こえた。

***

「みぃーさぁーきぃー」
聞き覚えのある気持ち悪い声を聞いて、うわあ、と。いやさすがに失礼か。とりあえず目の前の交差点はだめだ、引き返そう。踵を返した途端、赤と青が上から飛んできたのが見えた。ああ残念、間に合わなかった。最近ため息を吐く癖がついたかもしれない、目の前の好戦的な二人に長い息を吐いた。

***

部屋で飾っていた花が枯れていた。大して世話をせず放っておいたから、まあ当たり前といえば当たり前か。いつ悲鳴を上げ始めたのかも覚えていないしそもそもいつ花瓶に入れたのかさえ知らない。花の世話はいつもアイツがやっていたから、と心の中に言い訳をしてから思い出した。この花、ゆいこが育てていたのか。
「味気ない部屋だなあ」
初めて部屋に上がりこんできて開口一番に言われた言葉。「花でも飾ればいいのか?」と冗談を言うとそれを本気にしたゆいこが遊びに来るたび花を持ってきた。いつの間にか、花瓶や鉢植えが部屋に増えてしまった。いまさら捨てるのもめんどくさいくらいに。
枯れてしまった花はしょうがない。しょうがないから、いそいそと新しく切り花を買ってきている。滅多に無いオフに花屋へ向かうのが日課になってしまった。クソ野郎。

舌打ちを打つと花瓶に輝く花に笑われた気がした。


Thanks to ゆいこさん

name
email
url
comment

NEW ENTRIES
index(01.01)
DB高階/男主(01.16)
DBきさらぎ(01.16)
尊さん(02.12)
尊さん(01.25)
尊さん(01.25)
尊さん(01.17)
Kまとめ(01.17)
草薙さん(01.10)
八田ちゃん(01.10)
RECENT COMMENTS
TAGS
かぷ ゆめ 混合 妄想
ARCHIVES
RSS
RSS