文章置き

written by古川優菜twitter:)http://twitter.com/fullkota思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。
written by古川優菜
twitter:)http://twitter.com/fullkota
思いついたときに思いついたことをつらつら書くので更新は不定期。

尊さん

どうやったら眠りにつけるのか、眠る方法を時々忘れる。深夜、草薙さんと尊さんは酒に耽るのでわたしがベッドにはいるときはいつもひとりだ。2時間くらい、寝ようと試みて目を瞑って耐えても意識は途切れることがない。そうこうしてるうちに尊さんが帰ってきて「まだ寝てねえのか」と呆れられるのである。尊さんがわたしの隣に寝転びわたしを何かから守るようにぎゅっと寄せられると、不思議と睡魔が襲いかかってきて、やがてふわりと意識が浮かんでいく。
「仕方ねえ奴だな」
尊さんの小さなつぶやきは聞こえなかった。

(night night sweetie ...)

***

「あーもうあいつまじワガママなんすよ!!」
「そんなもんちゃう?ゆうなちゃんも昔はだいぶ我が儘言ってはったよ」
「え!?今全然そんなことないですよね」

そう、出会った頃と比べると随分大人しくなった。あの頃は我が儘ともとれるようなことをいつも俺にぶつけてきていたが、月日が経つにつれて交わす言葉も少なくなり気づけば声に出さずとも伝わるように。それが不満ってわけでもないが、物足りない気もする。昔は少しでも辛いと弱音を吐いていたのにクランズマンとして異能を手に入れてからは多少の無茶も厭わなくなってしまった。気にくわない。言うならば、少しは頼って欲しいってことだ。
ふてくされたように頬杖をついて、草薙達からそっぽを向いた。どうせ気づかれてねえだろ。かと思っていたら意中の人物がちょうどアンナと一緒に2階から降りてきた。
「どうかした?」
「…別に」
あいつの我が儘なんて大したもんじゃねえ。わかってるようで、わかってねえもんだ、あいつも。


(自分の名前を出すの恥ずかしいです…脳内でお好きなように変換してくださいませ、、)

尊さん

「みてみておしゃれしてみたの。」
細身のスキニーやジーンズを好み、スカートの類は「アンナ担当」と寄せ付けなかったのに、今日は見慣れない白いワンピースを着ている。くるりとその場で回ってはにかむ姿は不覚にも胸が高鳴った。デートの約束だったが、これは外に出したくねえな。またふらふらと踊るようにワンピースの着心地を楽しんでいる手を取って自分の体に寄せて額にキスをした。

***

背中の徴をなぞる指がくすぐったい。思わずもぞ、と動くとちゃぷんと水が揺れた。「…どうした」「くすぐったいよそれ」指摘すると鼻で笑って首筋を甘く噛まれた。この人はどれだけ私に徴を残したいんだろうか。

***

「尊の部屋やんに、あの子の私物の方が多いんちゃうの」「…そうだな」何もなかった俺の部屋にモノが増えていた。例えば、ソファに置きっぱなしの本。部屋を見回すと整理された服やアクセサリー。俺のモノまで好きなように動かされている。それに慣れきってしまったことに気づいては、と鼻で笑った。

尊さん

(葦中学園にて)
乱闘で吠舞羅もセプター4も闘っている中、ここにいろと言われ教室から見守っているこのもどかしさはたまったもんじゃない。尊も宗像さんと決戦をするらしく、出ていってしまった。やっぱり、わたしはここにいてはだめだ。「ちょ、どこいくんや!」って声が背後に聞こえる中、校庭へ駆けていった。
「「危ない!」」
八田ちゃんと伏見くんの重なった声が聞こえて、はっと上を見上げた。誰かの攻撃によって落ちてくる、大きなセメントだ。馬鹿な私は咄嗟に動くことも能力を引き出すこともできず、ぼんやりと最後に尊を走馬灯のように巡らせた。
八田ちゃん達が何か叫んでいる。きっと「避けろ」とでも言っているのだろう。俯いて、諦めるように「さようなら」と、心で尊に囁いた。しかし今にわたしの頭に落ちようとしていた瞬間、赤いサンクトゥムが私を囲い盾を作り、セメントが砕けて消えた。「死に急ぐな」と聞こえた気がして乾いた笑みが浮かんだ。

(「ばか!おまえ、死ぬとこだったんだぞ!?」「ここはいいからさっさと草薙さんところに戻ってください。つーか邪魔です」「おめえが言うことじゃねえよ猿!!!」)




(尊さん出なかったけど尊さん夢と言い張ります)

伏見

(すべてさるゆい)

「お前も来るか」「何、を言っているの」「飽きたんだよ、こんなところ」挨拶のように舌打ちをする猿比古が今日はひとつも舌打ちしなかった。この手を取れば彼とずっといられるかもしれないけれど、私には吠舞羅を捨てることなんてできないの。複雑な心に言葉にできず俯いてしまうと、それを見抜いたかのように苛立った舌打ちが聞こえた。

***

「みぃーさぁーきぃー」
聞き覚えのある気持ち悪い声を聞いて、うわあ、と。いやさすがに失礼か。とりあえず目の前の交差点はだめだ、引き返そう。踵を返した途端、赤と青が上から飛んできたのが見えた。ああ残念、間に合わなかった。最近ため息を吐く癖がついたかもしれない、目の前の好戦的な二人に長い息を吐いた。

***

部屋で飾っていた花が枯れていた。大して世話をせず放っておいたから、まあ当たり前といえば当たり前か。いつ悲鳴を上げ始めたのかも覚えていないしそもそもいつ花瓶に入れたのかさえ知らない。花の世話はいつもアイツがやっていたから、と心の中に言い訳をしてから思い出した。この花、ゆいこが育てていたのか。
「味気ない部屋だなあ」
初めて部屋に上がりこんできて開口一番に言われた言葉。「花でも飾ればいいのか?」と冗談を言うとそれを本気にしたゆいこが遊びに来るたび花を持ってきた。いつの間にか、花瓶や鉢植えが部屋に増えてしまった。いまさら捨てるのもめんどくさいくらいに。
枯れてしまった花はしょうがない。しょうがないから、いそいそと新しく切り花を買ってきている。滅多に無いオフに花屋へ向かうのが日課になってしまった。クソ野郎。

舌打ちを打つと花瓶に輝く花に笑われた気がした。


Thanks to ゆいこさん

尊さん

帰ってきてシャワー浴びようと思ってスウェットをとりだしたら何故か上の服がない。あ?確かあいつがいつも通りここにいれてただろ。どうせこんな時間に起きてるはずがない。スウェットの場所を聞くわけでもねえが、ベッドをのぞき込むと、ぶかぶかな俺のスウェットを身にくるんで寝ていた。なにやってんだ。なんとなく枕が湿っぽかった。は、と鼻で笑いながら頬をつついた。

***

控えめにノックしてみるけど返事はあまり期待していない。ゆっくりドアを開けて、頭だけ覗かせて「尊さん?」と呼んでみるとソファでじっと目をつむっていた。うん、あれは寝てない。「尊さん、草薙さんが呼んでる」呼びかけてみたけど反応はなかった。・・・部屋に入っていいのかな。距離感がわからない。

「また、悪夢?」
「見ない日なんてねえよ」
どんな悪夢なのかは知らないけれどいつも右手が僅かに震えている気がする。尊さんの右手をとって、よしよしと撫でると「あほか」と呆れられた。尊さんの右手は、わたしたちを守ってくれる右手。両手でぎゅっと握って持ち上げてわたしのおでこに寄せた。
「ありがとう、尊さんの右手。」
そういうとまた呆れた目をされた。

***

「尊さんが死んだら骨貰っていい?」
「…墓に閉じ込められるよりはいいかもな」

燃やされて面影もなくなってしまった尊さんの遺骨を箸で拾っていく。この人、こんなに脆かったっけ。いつも熱い炎を身にまとっていたのに、こんなところで簡単に燃やされてしまう人だったのだろうか。箸が、動かない。こんなところに収まってしまって良い人なの?涙が浮かんで視界がぼやけた。

「これ、お前のもんや」
「え?」
「自分で欲しい、いうたんやろ?」
かつて交わした約束は、あれからずっと覚えられていたらしい。「大事にしいや」と渡された壺はとても重かった。中身は、軽いのに。冷たい床に座り込んで壺を抱えて、尊さんが死んでから初めて声を上げて泣いた。

いたずらに、空回りするばかりだ。

尊さん

「やだ、離さない。」
冷たくなって殊更重く感じる体を抱きしめる。
「我儘いいなや。」
「やだ」
「そない言うても、腐るで、それ。」
「まだ腐ってない、もん」
出血なんてとっくに止まっていた。わたしの白いワンピースはどろどろと赤黒く包まれている。“それ”と呼ばれてしまうモノになってしまったなんて、まだ考えたくないの。ねえ尊。このまま私と焼かれるか、私と永久に離れず腐るか、どっちを選びますか?

涙すら、拭ってくれないの?

***

にゃあん。
聞き覚えのない鳴き声がバーに響いた。
「猫?」
「ああ、藤島が拾ってきたねん」
「また?」
「あいつの拾い癖はなかなか治らへんなあ」
俺としては猫の毛がグラスについたら嫌やからさっさと里親見つけてほしいねんけど。ぼやく草薙さんにどんまいと心の中でこぼしつつ、鳴き声の主を探した。

にゃあん。
ここにいるよと、もうひと鳴き。それで尊の座るソファにいることがわかった。艶のある毛並みから、飼い猫だったと想像できる。…それにしても尊さんの膝の上、か。わたしでもそこに座ったことないのに。どうだうらやましいだろ、と勝ち誇った目を向けられている気がしてむう、と口が歪んだ。
「なんだ」
「なんでも」
「…お前も座るか」
「い、いいもん」
意地っ張りを見抜き、鼻で笑われた。

「あとでな」と、声には出さず口を動かしたのを見て、頬が熱くなった。

***

ずっと我慢していたのに、けほ、と咳をこぼしてしまった。「…風邪か」「ちがう、ちょっと喉が気持ち悪くて」「…水いるか」「薬はいらない」「飲めよ、馬鹿」すっ、とソファから立ち上がり水と薬を取りに行ってしまった。どうしてこうも尊さんには体調不良を見抜かれるんだろう。草薙さんにもばれなかったのになあ。

平気なふりしてもお見通し。

K

(伏見)
「端末、鳴ってますよ」
「え?」伏見君に指摘されたカウンターに置いてあった端末をみてくすりとわらった。
「ああ、これ尊さんのだよ」ほら、わたしの持ってるし。ポケットから端末を取り出すと「あれ?」と伏見君はカウンターの端末と見比べた。

端末のベルはまだ鳴り止まない。

***
 
(いずりな)
「さっさとせんかい、どあほ!」
「ひっ、」
「ってあれ?十束ちゃうかった!ごめんりなちゃん、怒鳴ってびっくりしたやろ?」
「ああ、大丈夫です。草薙さんも大声出すんですねえ」
「そりゃ俺も人間やし」
この子は俺がどんだけやきもきしてるか知らへんねやな。そう思いながら沸き上がってきた感情を器用に押し殺した。

***

(八田鳥)
いつも乱暴にドアを開ける八田ちゃんが、そっと中を覗くようにドアを開けた。
「八田ちゃん?」
「…鳥いないっすよね?」
「ああ、おらんけど」
はあー、と長い息を吐いて恐る恐る店に入ってくる。きっと喧嘩して気まずいのだろう。苦笑いを浮かべながらコーヒー豆を取り出した。

***

「鳥のストレイン?」「情報によるとな」「なにできるんすか」こんな赤い小鳥が。そういうと、鳥なりにも怒ったらしい。ちゅんちゅん、とわめいた。

***

(八田)
「吠えるな、駄犬!」「犬じゃねえ烏だッ!」「烏だと言うなら空を飛んで見せろ犬!」
尊大な態度で怒鳴るこの女はどうやら猿の知り合いらしい。
「猿比古と合わせて『犬猿の仲』。いい組み合わせだな!」「烏だっつってんだろォォ!!」

全く話を聞かない女にぴしり、と青筋を巡らせた。

尊さん

「尊?」「あ?」「その右手」まるで何かの模様かのように黒く浸食されている。ああ、聞いちゃだめだったか。尊は返事なく黒い右手をずっと見つめている。「俺も長くねえようだな」「…やだよ、尊」「わりいな。諦めてくれ」「諦めたく、」ない、と言われたくないみたいで、言葉を遮るようにキスを落とされた。

***

雪が降った日は私がはしゃいで鬱陶しいらしい、尊さん曰く。わあい、と外へ駆けて、しゃがんで積もった雪を掬い上げる。しかし暫く眺める間もなく見覚えのある“赤”によって途端にしゅわ、と雪が解けて液体になり土へ還って行く。尊さんのいじわる。睨むようにして見上げると、意地の悪い表情をしながら私の目の前に赤い手袋をひらりと落とした。

「好きだなお前」
「うん。実家じゃ全然降らなかったから」
「さむいだけだろ」
「尊が厚着してないだけでしょー」
「…煙草買いに行くぞ」
「はあい」

雪道を踏みしめると綺麗に溶けて、足跡が残る。

***

延々と洗濯物をたたむ、作業のようなこれは意外と心を落ちつかせる。いつも煙草臭いこの服も、干したてだけに太陽と洗剤の匂いがふわふわと漂っている。気分良く鼻歌をこぼしていると、いつの間にやら隣に尊さんが座り込んだ。「タオル使う?」「いや、」

シルバーリングの輝く指が、布を触った。

草薙さん

大晦日、年明けを迎えようとする23時。最近大人しかった連中も今日は騒がしく、バーの調度品を壊しかける度に怒鳴りつける何故か懐かしい1日を終えようとしている。そこに尊や十束の姿はないけれど。ふと、気づいた。彼女がいない。
「おい、あいつどこにおるん?」
誰にでもないそこにいたメンバー全員に尋ねると一瞬だけ場が静まり返った。
「そういえば見かけないっすね」
「いつからいなかった?」
「いや、知らねえ」
「ていうか今日来てたか?」
「いや年越しそばは一緒に食ったぞ」
「アンナに聞くか?」
「いや、もう寝てんのに起こすのもかわいそうや。やめとき」

ふう、と長く息を吐くと磨いていたグラスをその場に置いた。
「さがそか」
なんとなく、嫌な予感がする。「おう」「はい」「わかりました」とそれぞれの返事をして皆、外へ駆けぬけていく。ああ、何もなかったらええねんけど。俺も探しに行こか。コートに腕を通した。

*-*-*

街の中を走り回って、初め寒かった外の空気もコートを脱ぎたくなるくらいに体が熱くなってしまった。息切れした吐息は白い。あいつ変な気起こしてへんやろな。くそ、こういう時、尊やったら―――あ。いつも日向ぼっこする公園に常連の喫茶店によく呑んだ屋台。いろいろ探したけど1つだけ、探していない場所がある。

鎮目町の外れ、尊がいる場所だ。

*-*-*

墓場に続く階段を登って、もうそろそろ体力の限界、ってところでやっと見つけた。俺たちが必死で探していた彼女は墓の前で体育座りをするように膝を抱えて丸まっている。顔は、見えない。いつからそこにいたのだろうか。とにかくタンマツで「見つかった。」と皆に連絡をいれてから、彼女に近づいた。

「なにしてんの」
「…草薙さん」
「急におらんなって、心配したで」
「…ごめんなさい。どうしても、あの空気がつらくて。」

それから、尊に会いたくて。
そう聞こえた気がした。泣いた痕は見当たらない。そのことに少しだけ安堵して、長時間外にいて冷たくなった体を引っ張り上げて「帰るで」と声をかけた。

「うん。―――またね、尊」

立ち上がったが俯いている彼女の手を繋ぐと想像以上に冷たい。ぎゅっと握ったけれど握り返してくれることはなかった。手を引くようにして、墓場を後にしたけれど、きっと彼女の心は未だ尊の墓の前にあるのだろう。


雪が降りはじめる、鳴り響いていた除夜の鐘の音が止んだ。

(2012年、相変わらず不定期な更新でしたがたくさんのアクセス有難うございました。来年もよろしくお願いします。よいお年を!)

草薙

(いずりな+多々良)
「え、ほんと?」
「多々良さん知らなかった?うん。それでね、」
「はいはい、そこまで。りなちゃんそろそろ帰らな明日も用事あるんやろ?」
「えーでも、」
「我儘言わんと。また明日おいで。今ならアパートまで送ったるから。な、いこ?」
「じゃあ俺店番しとくよ」
「おう、頼んだわー」

***

(いずりな)(上の続き)
「あ、ちょっと待って。コート着てくる。」
「あ、はい」
「…お待たせ。いこか」
「、はい」

「・・・」
「・・・」
「・・・ぷ、」
「な、なんですかッ」
「いや、あまりにもりなちゃん緊張しはるから」
「うう、だって」
「もっと緊張することしてみる?手、つなぐとか」
「えっ!?て、手汗がひどいんで」
「ぶはっ、そこかいな」

さっき断らずに素直に手つなげばよかったなあ。お互い並んでいるのに手はポケットに突っこんだまま。
沈黙のせいで草薙さんとほとんどお話できなくて、もうアパートは目の前。せっかく草薙さんと2人きりだったのに、恥ずかしくて喋ることなんてできなかった。がんばって話題探せばよかったなあ。徒歩10分の距離なんて、すぐそこだ。「ほな、また明日」そう言って私の髪をくしゃりと撫でる草薙さんはサングラス越しでもとても優しい目をしていた。

コートから煙草を取り出した、後ろ姿
(ほんまは俺も別れるん名残惜しいねん)

***

(いずりな)
「りなちゃん、あーん」
「?あーん(ぱく、もぐもぐ)あ、チョコレート?」
「せや。もらったのはええねんけど尊は甘いの嫌がるからなあ」
「アンナちゃんは?」
「いらんって。りなちゃんもう1個いる?」
「いる、けど次は自分で食べる!」
「いいから、あーん」
「、いじわる」

餌付けしてるみたいで楽しいとか言えへんわ。

(thanks to 梨杏さん)
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